少年

実際に起きたの事件にヒントを得た大島渚の名作のひとつ。戦争で人生を棒に振ったと思い込んでいる酔いどれの父親と、
気の強い後妻、少年と幼い弟の4人は当たり屋で生活費を稼ぎながら日本を縦断する。この犯罪に呵責の念を感じるが、少年にはなにもいえない。
やがて一家は逮捕されるが……。
日本を騒がせた当たり屋家族の顛末を叙情性あふれるロードムービーとして描いた作品でベネチア映画祭でも高く評価された。

監督:大島渚|1969年|98分|
脚本:田村孟|撮影:吉岡康弘、仙元誠三|

出演:父:渡辺文雄|母:小山明子|少年:阿部哲夫|チビ:木下剛志|
8553.jpg



(感想)
犯罪一家の物語がカンヌで賞を取り、
それで大島渚のこの映画を思い出した。
感想を読もうと思ったら、まだ感想を書いてなかった。
「書けなかった」のだった。

重くて暗い映画だ。
「犯罪」を軽く、陽気に遊びみたいに描いていない。
深刻だ。
本当の家族だけど、実の父親が、残酷だったりするから始末が悪い。
母親は義母。
「少年」は、継母が、妊娠したので、代わりに
当たり屋をやらされる。下手をしたら大怪我、最悪の場合は死んでしまう。
だけどやるしかない。
終始、この少年が無表情なのだ。それが胸をえぐる。
孤独なまなざしが強烈な印象を放つのだ。

この子は役者ではなく、養護施設にいたところ、映画に抜擢されたそうだ。
この映画の後はどうなったのか・・・。

当時、この事件は覚えている。
家族で、しかも自分の子供に当たり屋をさせていた、ということで
かなり衝撃的に扱っていたように思う。

高度経済成長期だったのに、その恩恵を受けることもできず、
人生の敗残者、となってしまった父のもと、
まともな暮らしもできず、親の言いなりになるしかない少年の
真の、深い孤独が痛いほど伝わってくる。


示談金をせしめて、その日暮らし、父親は
妻や子供が体を張って得た金を、豪勢な食事や芸者をあげたりして
刹那的に使ってしまう。

3.jpg
こういうシーンが入ると、寺山修司風味があってちょっとドキリとする。
何とも言えない不気味さ、人間の醜悪さを感じさせるのだ。
「日本」への恨みのようなものも。
父親は二言目には、「傷痍軍人」だから働けない、
と恩着せがましく言う。
傷痍軍人、と云われてしまうと何だが
抵抗できない圧力がある。

お国の為に戦ってくれた人なのだから、と思うと
逆らえないような気がする。

しかし、それを持ち出し、ろくに働かず妻や子供にまで
当たり屋をさせるとは卑怯、卑劣である。


傷痍軍人、といえば私が幼い頃、まだそういう人がいて、
片足をなくして「傷痍軍人」と書かれた紙をかかげて
幾ばくかの金を得るため、街で乞食をしている姿を見かけた。


20130904144208007.png
小山明子はとてもきれいだった。
この時代の女優さんは、綺麗な人が多い。
こういうメガネをかけていても美しさは際立っている。
o0360022012872939400.jpg

2013090416223328c.png
この、ふてぶてしいような、鈍く冷たく光る目つきが
何とも言えないリアルさを感じさせた。
全編、心が凍ったかのように感情が動かない少年なのだが
最後の最後に、一筋の涙が彼の頬を濡らす。
それが氷の心を溶かしたかのように見えるのだった。

こちらの心も凍るような作品で、重くて見ていて辛いのだが、
それでもドーンと胸に響くものがある。
大島渚にしては「わかりやすい」映画だった。


以下は、ネットで見つけた実際の家族の後日談・・・

『実際に起きた事件の、本当の一家』 の 「その後」 は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ◆継母は子宮がんにて死去(享年37歳)。
  ◆父親は出所後行商をしていたが、継母の死去後、24歳年下の女性と同棲。しかしそれも長くは続かず、行方不明。
  ◆「少年」の弟(チビ=父と継母との間の子)は、兄(「少年」)の援助を得て通っていた職業訓練校に向かう途上で交通事故死(享年16歳)。
  ◆「少年」は、両親の逮捕後、伯母に預けられ、そこから小学校・中学校に通い、中学校を卒業後に運送会社に勤務。大型特殊免許を取得後は14歳年上の女性と結婚し、長距離トラックを運転しながらささやかな家庭を築いている。 彼の家の仏壇には、実母、義母、そして16歳という若さで亡くなった弟の位牌が収められていますが、父親の思い出に繋がるものは何一つない。
  ・・・らしい。
  以上、貴重な情報は、こちらのサイトを参照させていただきました。(外部リンクです)
  http://okkoclassical.blog.so-net.ne.jp/archive/20130520
(ネットより)
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)